飲食店経営

飲食店の利益率の目安とは?計算方法や利益を高めるコツを徹底解説します

飲食店の利益率の目安のイメージ

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飲食店は開業から5年間で約20%のお店が閉店に追い込まれるとも言われており、新規参入も多いことから、生存競争が激しい世界と考えなければなりません。厳しい生存競争を勝ち抜くためには「利益率」という指標を重視することが大切で、利益率が高ければ高いほど長続きする飲食店に育てやすくなります。

この記事では、利益率に関連する専門用語の解説や、具体的な計算方法についても触れながら、利益率の重要性や数値の高め方を解説します。利益率をどの程度の目標に設定するとよいのかといった点もご紹介しますので、この記事を参考にしながら、無理なく経営できる飲食店を作り上げてくださいね。

飲食店の利益率の計算方法を解説

飲食店の利益率に関する指標としては、売り上げから原価を差し引いた「粗利益」と、粗利益からすべての支出を差し引いた「営業利益」があります。まずはこの2つの用語がどのような意味を持っているのかを解説しながら、具体的な計算方法をご紹介しましょう。

粗利益

粗利益は、特定の料理の販売価格から原価を差し引いて残った利益を指す用語です。たとえば原価300円のカレーライスを800円で販売したとしましょう。この場合、カレーライス1皿の販売につき500円の粗利益が出ることになります。

粗利益は金額ではなく、パーセンテージに換算して数値化することがあります。計算式としては粗利益÷販売価格×100という形で導き出しましょう。

先ほどのカレーライスの例では、500÷800×100という計算が成り立ち、粗利率は62.5%になります。

営業利益

すべての料理の売り上げから出た粗利益をすべて足し、そこから経営にかかるすべての費用を差し引いた後に残るのが営業利益です。営業利益は、そのお店が生み出した黒字額そのものを表すことになりますので、粗利益よりも重視して計算すべき数値になります。

たとえば、先ほどのカレーライスを1日平均50皿売り上げるお店の場合、1日あたりの粗利益は500円×50皿で25,000円です。これを30日分に換算すると、25,000円×30日で、合計75万円の粗利益が出ることが分かりました。

この数字から、以下のような運営に必要な経費をすべて差し引きます。

カレーライス1皿だけで営業を行っているお店と仮定した場合、これらの費用を月額75万円以下に抑えなければ、お店の利益を出すことができません。仮に、上記の費用をすべて合計した金額が70万円であれば、お店が1ヶ月で生み出した利益は5万円です。

もしも仕入れ値の高騰やイレギュラーの発生によって出費がかさみ、80万円の費用がかかった場合は、5万円の赤字となってしまいます。

飲食店が目指すべき利益率の目安とは

飲食店の経営がうまく回っているかどうかを調べる際は、「営業利益率」という指標が使われる機会が目立ちます。飲食店が健全な経営を持続させるために目指すべき営業利益率の目安はどの程度なのか、計算式と合わせながら確認しましょう。

営業利益率の計算方法

営業利益率は、以下の計算式で導き出すことができます。

先ほどのカレーライスの例を用いて、再び計算してみましょう。まず、カレーライスの販売価格は1皿あたり800円でした。これを1日に50皿販売するのですから、1日の売上高は4万円、30日間の売上高は120万円という計算になります。

この売上高を、営業利益から割って100を掛けた数字が営業利益率になります。仮に5万円の営業利益が発生した場合、以下のような計算で営業利益率を求めましょう。

50,000÷1,200,000×100=4.17%

このような計算結果になりました。

飲食店が目指す営業利益率の目安は5~10%程度

ごく一般的な飲食店の場合、営業利益率の平均は5%前後と言われており、チェーン店を展開する大手でも10%には届かないことがほとんどです。この目安から考えれば、飲食店経営においてまず目指すべき営業利益率は5~10%の間で、10%に近い営業利益を上げられれば優秀な飲食店と評価することができます。

先ほどのカレーライスの例を見ると、営業利益率は4.17%でしたから、利益は出ているものの目標とすべき基準には届いていません。実際には営業利益がさらに低くなったり、マイナスになったりするリスクを孕む点を考慮すれば、改善の余地ありと考えるべきでしょう。

飲食店が営業利益をアップさせるためにできること

飲食店が安定した利益を出し続けるためには、営業利益をアップさせて、営業利益率を常に5%以上の水準で保つことが大切です。そのために飲食店側ができる対策にはどのようなものがあるのかを解説し、営業利益をアップさせるコツを伝授します。

粗利益の高い商品を混ぜる

サイドメニューやドリンクなどに、粗利益の高い商品を混ぜることによって、全体の営業利益をアップさせることが可能です。たとえばカレーライスのほかに、粗利率が70%に達するタンドリーチキンをメニューに加えて、1日50本の売り上げがあったとしましょう。

この場合、カレーライスとタンドリーチキンを合わせた粗利率は66.25%にまで上昇することになります。

可能な限りコストを削減する

仮に粗利益の金額が変わらなかったとしても、支出となるコストを削減することができれば、営業利益はアップすることになります。家賃を下げさせたり、従業員の給料を落としたりすることは困難ですから、真っ先に行える対策としては食材や光熱費のカットが有効でしょう。

原価の見直しを行ったり、食材のロスを抑えられるメニューを考案したりした結果、先ほど70万円として計算した支出が65万円にまで下がったとします。
売上高が120万円のまま変わらず、営業利益を10万円にまで改善できた場合、営業利益率は以下のように変動します。

100,000÷1,200,000×100=8.33%

このように、コストの見直しと削減を推進することによって、営業利益率を劇的に改善させることも可能です。

デリバリー用メニューと利益率の関係性

これまでの計算は、あくまでもすべて店舗で販売を行った場合に限ったものであり、フードデリバリーを導入する場合は事情が異なります。たとえば出前館やウーバーイーツでは、2021年1月現在は35%の手数料が売上ごとに差し引かれますので、そのままの価格で販売すると赤字に陥るリスクがあるのです。

たとえばカレーライスは1皿800円ですから、フードデリバリーを経由して販売した場合、手数料280円が差し引かれ、1皿の粗利益は220円に低下してしまいます。この状態では、営業利益率を算出した際に悪い数値が出る確率が高いため、改善策を講じなければなりません。

大手チェーン店でも行っている対策は、デリバリー用のメニューを通常価格から3~4割ほど値上げするというものです。手数料を実質的に上乗せした金額で販売することで利益を確保することができ、なおかつ販売数増加に伴う売上高のアップを見込めます。

まとめ

飲食店にとって重要な指標となる営業利益率は、営業利益から売上高を割って100を掛けるという計算式で求めることができます。飲食店の平均営業利益率は5~10%程度ですので、当面の目標としては、この数値の中で安定させることを目指すとよいでしょう。

数値を改善させるためには、粗利益の高い商品を混ぜたり、コストを可能な限り下げたりすることのほか、デリバリー用のメニューを値上げするといった対策が有効です。